第1章 数と式

単項式・多項式の基本
─ 代数の「言語」を身につける

数学のすべての計算は「式」を正しく読み書きすることから始まります。
単項式・多項式の用語を正確に理解し、式を整理する力は、因数分解・方程式・不等式など、あらゆる分野の土台です。

1整式とは何か ─ 代数の言語を整理する

高校数学では、数と文字を組み合わせた「式」を自在に操る力が求められます。 まずは、式を構成する基本的な用語を正確に押さえましょう。 ここでの用語は、数学のすべての分野で共通して使う「言語」です。

単項式とは

単項式とは、数や文字を掛け合わせただけの式のことです。 たとえば、$3x^2$、$-5xy$、$7$、$a$ はすべて単項式です。 足し算や引き算を含まないのが特徴です。

単項式には2つの重要な属性があります。

  • 係数:文字以外の数の部分。$3x^2$ の係数は $3$、$-5xy$ の係数は $-5$
  • 次数:掛け合わされている文字の個数(指数の合計)。$3x^2$ の次数は $2$、$-5xy$ の次数は $2$($x$ が1つ、$y$ が1つ)

多項式とは

多項式とは、いくつかの単項式の和として表される式のことです。 たとえば、$3x^2 - 5x + 2$ は、$3x^2$、$-5x$、$2$ という3つの単項式の和です。 このとき、1つ1つの単項式をこの多項式のと呼びます。

多項式は整式とも呼ばれます。 また、単項式は「項が1つだけの多項式」と考えることもできます。 つまり、単項式は多項式の特殊なケースです。

💡 ここが本質:整式とは「足し算とかけ算だけで作れる式」

整式(多項式)の本質は、足し算(引き算)とかけ算だけで構成された式ということです。 割り算($\frac{1}{x}$)や平方根($\sqrt{x}$)が文字に対して使われていない式が整式です。

たとえば $3x^2 - 5x + 2$ は整式ですが、$\frac{1}{x}$ や $\sqrt{x}$ は整式ではありません。 $\frac{x^2 + 1}{3}$ のように数で割っているだけなら整式です($\frac{1}{3}x^2 + \frac{1}{3}$ と同じ)。

この区別が大切なのは、整式には交換法則・結合法則・分配法則がきれいに成り立ち、 因数分解や展開といった操作が自由にできるからです。

多項式の次数と定数項

多項式の次数とは、各項の次数のうち最も高いものです。 たとえば $3x^2 - 5x + 2$ では、$3x^2$ の次数が $2$、$-5x$ の次数が $1$、$2$ の次数が $0$ なので、 この多項式の次数は $2$ です。次数が $n$ の多項式を$n$ 次式と呼びます。

文字を含まない項を定数項といいます。 $3x^2 - 5x + 2$ の定数項は $2$ です。 定数項の次数は $0$ と考えます(ただし、数 $0$ の次数は定めません)。

📐 整式の用語一覧

単項式:数や文字の積だけで表される式。例:$3x^2$、$-5xy$、$7$

係数:単項式の数の部分。$3x^2$ の係数は $3$

次数:掛け合わされた文字の個数。$3x^2$ は2次、$-5xy$ は2次

多項式(整式):単項式の和。$3x^2 - 5x + 2$

:多項式を構成する各単項式。$3x^2$、$-5x$、$2$

多項式の次数:各項の次数の最大値。上の例は2次式

定数項:文字を含まない項。上の例では $2$

※ $0$ 以外の定数の次数は $0$ とする。数 $0$ の次数は定めない。

特定の文字に着目する

2種類以上の文字を含む式では、どの文字に着目するかによって次数や係数が変わります。 たとえば $5yx^2$ という単項式を考えましょう。

  • 全体で見ると:次数は $3$($x$ が2個、$y$ が1個)、係数は $5$
  • $x$ に着目すると:次数は $2$、係数は $5y$
  • $y$ に着目すると:次数は $1$、係数は $5x^2$

「$x$ に着目する」とは、$x$ 以外の文字(ここでは $y$)を数と同じように扱うということです。 この考え方は、因数分解や方程式で非常に重要になります。

⚠️ 落とし穴:着目する文字で次数が変わることを忘れる

$2x^2 - 5xy + y^3 + 5$ について、$x$ に着目したときの次数を聞かれたとします。

✕ 誤:$y^3$ の次数が $3$ だから、全体の次数は $3$

○ 正:$x$ に着目するので、$y$ は数と同じ扱い。 $2x^2$($x$ の2次)、$-5yx$($x$ の1次)、$y^3$($x$ の0次 = 定数項)、$5$(定数項)。 よって $x$ について2次式。定数項は $y^3 + 5$。

「どの文字に着目するか」を常に確認してから次数を答えましょう。

🔬 深掘り:多項式は数学の「原子」

大学数学には多項式環(polynomial ring)という概念があります。 これは、多項式全体の集合に加法と乗法の演算を入れたもので、 整数の世界(足し算とかけ算ができる世界)と非常によく似た構造をもっています。

整数で「素因数分解」ができるように、多項式でも「因数分解」ができます。 高校で学ぶ因数分解は、実は整数論と同じ枠組みで理解できるのです。 「整式」という名前に「整(数)」が含まれているのは偶然ではありません。

2多項式の加法・減法 ─ 同類項をまとめる

多項式の足し算・引き算は、日常の計算と同じ原理です。 「同じ種類のもの同士を足す」── これが同類項をまとめるという操作の正体です。

同類項とは

多項式の項のうち、文字の部分が同じである項を同類項と呼びます。 たとえば $3x^2$ と $-7x^2$ は同類項です(文字部分がどちらも $x^2$)。 一方、$3x^2$ と $3x$ は同類項ではありません($x^2$ と $x$ は異なる)。

同類項は、係数だけを足し引きしてまとめることができます。

$$3x^2 + (-7x^2) = (3 - 7)x^2 = -4x^2$$
💡 ここが本質:同類項をまとめる = 分配法則の逆

同類項をまとめる操作は、実は分配法則を逆に使っているだけです。

分配法則(展開):$a \cdot x^2 + b \cdot x^2 = (a + b) \cdot x^2$

$3x^2 + (-7x^2) = (3 + (-7))x^2 = -4x^2$ は、$x^2$ を共通因数としてくくり出しています。 同類項をまとめるとは「共通の文字部分でくくる」ことにほかなりません。

逆に言えば、文字部分が異なる項はくくり出せないので、まとめられません。 $3x^2 + 5x$ はこれ以上まとめられないのです。

多項式の加法・減法の手順

$A = 2x^2 + 3x - 1$、$B = x^2 - 5x + 4$ のとき、$A + B$ と $A - B$ を求めてみましょう。

▷ 加法・減法の計算例

加法 $A + B$:

$$A + B = (2x^2 + 3x - 1) + (x^2 - 5x + 4)$$

$$= 2x^2 + x^2 + 3x - 5x - 1 + 4$$

$$= 3x^2 - 2x + 3$$

減法 $A - B$:

$$A - B = (2x^2 + 3x - 1) - (x^2 - 5x + 4)$$

$$= 2x^2 + 3x - 1 - x^2 + 5x - 4$$

$$= x^2 + 8x - 5$$

⚠️ 落とし穴:引き算のとき、括弧を外す符号を間違える

減法で最も多いミスは、括弧を外すとき、全部の項の符号を変え忘れることです。

✕ 誤:$(2x^2 + 3x - 1) - (x^2 - 5x + 4) = 2x^2 + 3x - 1 - x^2 - 5x + 4$ ($-5x$ の符号が変わっていない)

○ 正:$-(x^2 - 5x + 4) = -x^2 \mathbin{\color{#c0392b}{+}} 5x \mathbin{\color{#c0392b}{-}} 4$ (すべての項の符号が反転する)

$-(\ )$ は「括弧内のすべての項に $-1$ を掛ける」操作です。 項が3つ以上あるとき、中間の項の符号変更を忘れがちです。 慣れるまでは、1つずつ確認しましょう。

⚠️ 落とし穴:同類項でないものをまとめてしまう

✕ 誤:$3x^2 + 5x = 8x^2$($x^2$ と $x$ をまとめている)

○ 正:$3x^2 + 5x$ はこれ以上まとめられない。 $x^2$ と $x$ は文字部分が異なるので同類項ではない。

同類項かどうかの判定は「文字部分(文字とその指数)が完全に一致するか」です。 $x^2$ と $x$ は似ていますが別物です。

3多項式の乗法 ─ 分配法則の徹底

多項式の掛け算は、分配法則にすべてが帰着します。 分配法則とは、次の性質のことです。

$$a(b + c) = ab + ac$$

この式は「括弧の外の $a$ を、括弧の中の各項に1つずつ掛ける」と読めます。 多項式同士の掛け算も、この原理を繰り返し適用するだけです。

📐 多項式の計算法則

交換法則:$A + B = B + A$、$AB = BA$

結合法則:$(A + B) + C = A + (B + C)$、$(AB)C = A(BC)$

分配法則:$A(B + C) = AB + AC$、$(A + B)C = AC + BC$

※ $A$、$B$、$C$ は多項式。これらの法則は整式の計算の基礎です。

単項式 $\times$ 多項式

分配法則をそのまま適用します。

$$2x(3x^2 - 5x + 1) = 2x \cdot 3x^2 + 2x \cdot (-5x) + 2x \cdot 1 = 6x^3 - 10x^2 + 2x$$

多項式 $\times$ 多項式

多項式同士の掛け算では、一方の各項を、もう一方のすべての項に掛けるという原則を使います。

$(x + 2)(x - 3)$ を展開してみましょう。

$$(x + 2)(x - 3) = x \cdot x + x \cdot (-3) + 2 \cdot x + 2 \cdot (-3)$$ $$= x^2 - 3x + 2x - 6 = x^2 - x - 6$$
💡 ここが本質:展開の正体は「すべてのペアの積の和」

$(a + b)(c + d)$ を展開するとき、左の括弧から1つ、右の括弧から1つ、 すべての組み合わせの積を足し合わせます。

$$ac + ad + bc + bd$$

項が増えても原理は同じです。$(a + b + c)(d + e)$ なら、 左の3項と右の2項で合計 $3 \times 2 = 6$ 個の積を作ります。

乗法公式はこの展開の結果をパターン化したものにすぎません。 暗記が不安なときは分配法則に戻れば、必ず正しい答えにたどり着けます。

指数法則

単項式の乗法では、指数法則を使って文字の掛け算を処理します。 $m$、$n$ を正の整数とするとき、次の3つの法則が成り立ちます。

  • $a^m \times a^n = a^{m+n}$(同じ底の積 → 指数を足す)
  • $(a^m)^n = a^{mn}$(累乗の累乗 → 指数を掛ける)
  • $(ab)^n = a^n b^n$(積の累乗 → それぞれを累乗する)

たとえば $3x^2 \times 4x^3 = 12x^{2+3} = 12x^5$ です。 なぜ指数を足すのでしょうか? $x^2 \times x^3 = (x \cdot x) \times (x \cdot x \cdot x) = x^5$ と書き下せば、 $x$ が合計5個掛け合わされていることがわかります。

⚠️ 落とし穴:指数の「足す」と「掛ける」を混同する

✕ 誤:$x^2 \times x^3 = x^6$(指数を掛けてしまった)

○ 正:$x^2 \times x^3 = x^{2+3} = x^5$(同じ底の積では指数を足す

指数を掛けるのは $(x^2)^3 = x^{2 \times 3} = x^6$ のように「累乗の累乗」のときだけです。

迷ったら、$x^2 = x \cdot x$、$x^3 = x \cdot x \cdot x$ と展開して個数を数えましょう。 $x \cdot x \cdot x \cdot x \cdot x = x^5$ と確認できます。

🔬 深掘り:展開と分配法則 ── コンピュータサイエンスへの接続

多項式の展開は、コンピュータサイエンスの組み合わせ爆発と深く関係しています。 $(a_1 + a_2 + \cdots + a_m)(b_1 + b_2 + \cdots + b_n)$ の展開では $m \times n$ 個の項が生まれます。

項数が増えると計算量が急激に増大するため、コンピュータで多項式を高速に乗算するための アルゴリズム(高速フーリエ変換: FFTなど)が研究されています。 分配法則という単純な原理が、最先端の計算理論につながっているのです。

4整式の整理 ─ 降べきの順と昇べきの順

計算の結果得られた多項式は、そのままでは読みにくいことがあります。 「整理する」とは、見やすく、扱いやすい形に並べ替えることです。 整理の方法には2つの軸があります。

同類項をまとめる

まず最初にやるべきことは、同類項をまとめることです。 たとえば $3x^2 + 2x - x^2 + 5x - 1$ なら、 $3x^2$ と $-x^2$($x^2$ の同類項)、$2x$ と $5x$($x$ の同類項)をまとめて、 $2x^2 + 7x - 1$ とします。

降べきの順と昇べきの順

同類項をまとめたら、次は項を並べる順序です。

  • 降べきの順:次数の高い項から順に並べる。最も一般的な並べ方
  • 昇べきの順:次数の低い項から順に並べる。特定の場面で使用

たとえば $5 - 3x + 2x^2$ は、降べきの順に整理すると $2x^2 - 3x + 5$、 昇べきの順なら $5 - 3x + 2x^2$(そのまま)です。

通常は降べきの順で整理します。 降べきの順に並んでいると、次数がひと目でわかり、 多項式の割り算(数学IIで学習)でも計算しやすくなります。

💡 ここが本質:整式の整理は「情報を読み取りやすくする」作業

整式を整理する目的は、式から情報を素早く読み取れるようにすることです。

降べきの順に整理すると、最初の項を見るだけで「何次式か」がわかります。 $2x^3 + 5x^2 - x + 3$ → 最初の項が $x^3$ なので3次式。

さらに、2つの文字を含む式では「どの文字に着目して整理するか」で見え方が変わります。 $x$ について整理すれば「$x$ の何次式か」がわかり、$y$ について整理すれば「$y$ の何次式か」がわかる。 整理の仕方は目的によって選ぶのです。

2種類以上の文字を含む式の整理

$x$ と $y$ の2種類の文字を含む式 $5x^2 + y - 3xy + 2y^2 - 2 + x$ を、 $x$ について降べきの順に整理してみましょう。

まず、$x$ に着目して各項の次数を確認します。$y$ は数と同じ扱いです。

  • $x$ の2次の項:$5x^2$
  • $x$ の1次の項:$-3xy$、$x$ → まとめると $(-3y + 1)x$
  • $x$ の0次の項(定数項):$y$、$2y^2$、$-2$ → まとめると $2y^2 + y - 2$

したがって、$x$ について降べきの順に整理すると、

$$5x^2 + (-3y + 1)x + (2y^2 + y - 2)$$

この形にすると、$x$ について2次式であること、$x^2$ の係数が $5$、 $x$ の係数が $-3y + 1$、定数項が $2y^2 + y - 2$ であることが一目でわかります。

⚠️ 落とし穴:2文字以上の式で「全体の次数」と「着目した文字の次数」を混同する

$3x^2y + 2xy^2 - y^3$ を「$x$ について整理せよ」と言われたとき:

✕ 誤:$3x^2y$ は3次だから最も高い... と全体の次数で考える

○ 正:$x$ についての次数は、$3x^2y$($x$ の2次)、$2xy^2$($x$ の1次)、$-y^3$($x$ の0次)。 よって $3yx^2 + 2y^2 x - y^3$ と整理する。

「着目する文字について」と指定されたら、他の文字は数として扱い、 指定された文字だけで次数を数えてください。

5この章を俯瞰する

この記事で学んだ用語や計算技法は、第1章「数と式」全体の土台です。 ここから先、整式の世界はどのように広がっていくのでしょうか。

つながりマップ

  • → 1-2 因数分解:展開の「逆操作」。多項式を積の形に分解する技術。同類項の扱いや整式の整理が前提知識となる。
  • → 1-3 実数と平方根:$\sqrt{\ }$ を含む式の計算。整式ではないが、分配法則や同類項の考え方はそのまま使える。
  • → 1-4 1次不等式:整式の加減法が不等式の変形の基礎。移項も「両辺に同じ式を足す」操作。
  • → 第2章 2次関数:$y = ax^2 + bx + c$ は $x$ の2次式(整式)。平方完成は整式の変形技術の応用。
  • → 2-3 2次方程式:因数分解を使って方程式を解く。整式の乗法と因数分解が直結する。
  • → 2-4 2次不等式:2次式の符号を調べる問題。因数分解やグラフの理解が必要。
  • → 数学II 多項式の割り算:整式を「割る」操作。降べきの順に整理する力が不可欠。

📋まとめ

  • 単項式は数や文字の積だけで表される式。多項式(整式)は単項式の和
  • 係数は単項式の数の部分、次数は掛け合わされた文字の個数。多項式の次数は各項の次数の最大値
  • 2種類以上の文字を含む式では、着目する文字によって次数・係数が変わる。他の文字は数として扱う
  • 同類項(文字部分が同じ項)は係数を足し引きしてまとめられる。これは分配法則の逆操作
  • 多項式の乗法(展開)は分配法則を繰り返し適用する。すべてのペアの積の和を求める
  • 整式の整理は降べきの順(次数の高い項から並べる)が基本。2文字以上のときは着目する文字を決めて整理する

確認テスト

Q1. $4x^3y^2$ の次数と係数を答えてください(全体について)。また、$x$ に着目したときの次数と係数も答えてください。

▶ クリックして解答を表示全体:次数は $5$($x$ が3個、$y$ が2個)、係数は $4$。$x$ に着目:次数は $3$、係数は $4y^2$。

Q2. $3x^2 - 2x + 5 + x^2 + 4x - 7$ を同類項をまとめて整理してください。

▶ クリックして解答を表示$3x^2 + x^2 = 4x^2$、$-2x + 4x = 2x$、$5 - 7 = -2$。よって $4x^2 + 2x - 2$。

Q3. $A = x^2 + 3x - 2$、$B = 2x^2 - x + 5$ のとき、$A - B$ を求めてください。

▶ クリックして解答を表示$A - B = (x^2 + 3x - 2) - (2x^2 - x + 5) = x^2 + 3x - 2 - 2x^2 + x - 5 = -x^2 + 4x - 7$

Q4. $2x(3x^2 - 4x + 5)$ を展開してください。

▶ クリックして解答を表示$2x \cdot 3x^2 + 2x \cdot (-4x) + 2x \cdot 5 = 6x^3 - 8x^2 + 10x$

Q5. $2xy + 3x^2 - y^2 + x - 5 + y$ を $x$ について降べきの順に整理してください。また、$x$ についての次数と定数項を答えてください。

▶ クリックして解答を表示$x$ について整理すると $3x^2 + (2y + 1)x + (-y^2 + y - 5)$。$x$ について2次式。定数項は $-y^2 + y - 5$。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

1-1-1 A 基礎 次数・係数 整式の整理

多項式 $2x^2y - 3xy^2 + x^3 - 5y^3 + 4xy$ について、次の問いに答えよ。

(1) $x$ について整理し、$x$ についての次数と定数項を求めよ。

(2) $y$ について整理し、$y$ についての次数と定数項を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $x^3 + 2yx^2 + (-3y^2 + 4y)x - 5y^3$。$x$ について3次式。定数項は $-5y^3$。

(2) $-5y^3 - 3xy^2 + (2x + 4x)y + x^3 = -5y^3 - 3xy^2 + (2x^2 + 4x)y + x^3$。$y$ について3次式。定数項は $x^3$。

解説

方針:着目する文字を決め、他の文字は数として扱い、降べきの順に並べる。

(1) $x$ に着目。各項の $x$ の次数を調べる。

・$x^3$($x$ の3次)、$2x^2y$($x$ の2次)、$-3xy^2$、$4xy$($x$ の1次)、$-5y^3$($x$ の0次)

$x$ の1次の項をまとめると $(-3y^2 + 4y)x$

よって $x^3 + 2yx^2 + (-3y^2 + 4y)x - 5y^3$

(2) $y$ に着目。各項の $y$ の次数を調べる。

・$-5y^3$($y$ の3次)、$-3xy^2$($y$ の2次)、$2x^2y$、$4xy$($y$ の1次)、$x^3$($y$ の0次)

$y$ の1次の項をまとめると $(2x^2 + 4x)y$

よって $-5y^3 - 3xy^2 + (2x^2 + 4x)y + x^3$

1-1-2 A 基礎 加法・減法 計算

$A = 3x^2 - 2xy + y^2 - 1$、$B = x^2 + 5xy - 3y^2 + 4$ のとき、$2A - 3B$ を計算せよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$3x^2 - 19xy + 11y^2 - 14$

解説

方針:まず $2A$ と $3B$ をそれぞれ計算し、その差を求める。

$2A = 6x^2 - 4xy + 2y^2 - 2$

$3B = 3x^2 + 15xy - 9y^2 + 12$

$2A - 3B = (6x^2 - 4xy + 2y^2 - 2) - (3x^2 + 15xy - 9y^2 + 12)$

$= 6x^2 - 4xy + 2y^2 - 2 - 3x^2 - 15xy + 9y^2 - 12$

$= 3x^2 - 19xy + 11y^2 - 14$

⚠️ $3B$ を引くとき、すべての項の符号が反転することに注意。特に $+15xy$ が $-15xy$ になるのを見落とさないこと。

B 発展レベル

1-1-3 B 発展 整式の整理 次数の決定 論述

$a$ を定数とする。多項式 $P = ax^3 + (a^2 - 4)x^2 + 3x - a + 2$ が $x$ の2次式であるとき、$a$ の値と $P$ を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$a = 0$ のとき $P = -4x^2 + 3x + 2$

解説

方針:$P$ が $x$ の2次式であるための条件を考える。3次の項の係数が $0$ で、かつ2次の項の係数が $0$ でないことが必要。

$P$ が $x$ の2次式であるためには:

・$x^3$ の係数 $= 0$:$a = 0$

・$x^2$ の係数 $\neq 0$:$a^2 - 4 \neq 0$

$a = 0$ のとき $a^2 - 4 = -4 \neq 0$ なので条件を満たす。

$a = 0$ を代入して $P = -4x^2 + 3x + 2$

⚠️ 「2次式」なので、3次の項が消えるだけでなく、2次の項が残ることも確認が必要。これを忘れると、$a^2 - 4 = 0$ のケース($a = \pm 2$)で1次式以下になる場合を見落とす。

採点ポイント
  • $x^3$ の係数 $= 0$ の条件を立てる(3点)
  • $x^2$ の係数 $\neq 0$ の確認(3点)
  • $a = 0$ を代入して $P$ を正しく求める(4点)
1-1-4 B 発展 多項式の乗法 式の値 論述

$x + y = 3$、$xy = -2$ のとき、$x^2 + y^2$ および $x^3 + y^3$ の値を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$x^2 + y^2 = 13$、$x^3 + y^3 = 45$

解説

方針:$x^2 + y^2$ や $x^3 + y^3$ を $x + y$ と $xy$ で表す。直接 $x$, $y$ の値を求めるのではなく、対称式の性質を使う。

$x^2 + y^2$ を求める:

$(x + y)^2 = x^2 + 2xy + y^2$ を展開の公式から利用する。

$$x^2 + y^2 = (x + y)^2 - 2xy = 3^2 - 2 \cdot (-2) = 9 + 4 = 13$$

$x^3 + y^3$ を求める:

$x^3 + y^3 = (x + y)(x^2 - xy + y^2)$ を利用する。

$$x^2 - xy + y^2 = (x^2 + y^2) - xy = 13 - (-2) = 15$$

$$x^3 + y^3 = 3 \times 15 = 45$$

⚠️ $x^3 + y^3 = (x + y)^3$ としないこと。$(x + y)^3 = x^3 + 3x^2y + 3xy^2 + y^3$ であり、$x^3 + y^3$ とは異なる。

採点ポイント
  • $x^2 + y^2 = (x+y)^2 - 2xy$ の変形(3点)
  • $x^2 + y^2 = 13$ を正しく求める(2点)
  • $x^3 + y^3 = (x+y)(x^2 - xy + y^2)$ の利用(3点)
  • $x^3 + y^3 = 45$ を正しく求める(2点)