第1章 数と式

連立不等式と不等式の応用
─ 複数の条件を同時に満たす範囲を見つける

1つの不等式だけでは条件を絞りきれないとき、複数の不等式を同時に考えます。
「共通範囲」という考え方を理解すれば、整数解の問題や文字係数の不等式にも自信を持って取り組めます。

1連立不等式とは ─ 共通範囲を求める

1-4で学んだ1次不等式は、1つの条件から $x$ の範囲を求めるものでした。 しかし現実の問題では、「温度は $20^\circ$C 以上、かつ $30^\circ$C 以下」のように、 複数の条件を同時に満たす範囲を求めたい場面が多くあります。

いくつかの不等式を組み合わせたものを連立不等式といい、 それらの不等式を同時に満たす $x$ の値の範囲を求めることを、その連立不等式を解くといいます。

💡 ここが本質:連立不等式の解 = それぞれの解の「共通部分」

連立不等式を解くとは、各不等式の解の範囲を求め、それらがすべて重なる部分(共通部分)を見つけることです。

連立方程式では「代入法」や「加減法」で変数を消去しましたが、連立不等式ではそのような操作は行いません。 各不等式を独立に解き、その後で共通範囲を調べるのが基本方針です。

これは集合の言葉で言えば「積集合($A \cap B$)を求める」操作に対応しています。

たとえば、次の連立不等式を考えてみましょう。

$$\begin{cases} 2x + 3 > 7 \\ x - 1 \leq 4 \end{cases}$$

1つ目の不等式 $2x + 3 > 7$ を解くと $x > 2$。 2つ目の不等式 $x - 1 \leq 4$ を解くと $x \leq 5$。 両方を同時に満たす $x$ の範囲は $2 < x \leq 5$ です。

⚠️ 落とし穴:連立不等式を加減法で解こうとする

✕ 誤:連立方程式のように、2つの不等式を辺々加えて $x$ を消去しようとする。

○ 正:連立不等式では、各不等式を独立に解いてから共通範囲を求める。 不等式は辺々加えると不等号の向きが揃っていないと成り立たない場合があり、 方程式のような加減法は一般には使えません。

$a < x < b$ 型の不等式

$1 < 3x - 2 < 10$ のような不等式は、一見すると1つの式ですが、実は連立不等式の略記です。

$$1 < 3x - 2 < 10 \quad \Longleftrightarrow \quad \begin{cases} 3x - 2 > 1 \\ 3x - 2 < 10 \end{cases}$$

左側の不等式から $x > 1$、右側の不等式から $x < 4$。 共通範囲は $1 < x < 4$ です。

この形の不等式は、各辺に同じ操作を施して解くこともできます。 $1 < 3x - 2 < 10$ の各辺に $2$ を加えると $3 < 3x < 12$、各辺を $3$ で割ると $1 < x < 4$。 ただし、各辺を負の数で割る場合は不等号の向きがすべて逆転することに注意が必要です。

🔬 深掘り:集合論と連立不等式

連立不等式の「共通範囲を求める」という操作は、集合論における積集合(intersection)の計算です。 不等式 $x > 2$ の解集合を $A = \{x \mid x > 2\}$、$x \leq 5$ の解集合を $B = \{x \mid x \leq 5\}$ とすれば、 連立不等式の解は $A \cap B = \{x \mid 2 < x \leq 5\}$ です。

大学数学の線形計画法では、複数の不等式条件を同時に満たす領域(実行可能領域)の中で 目的関数を最適化します。連立不等式は、最適化問題の基礎になっています。

2連立不等式の解法 ─ 数直線の活用

連立不等式を解く手順は、驚くほどシンプルです。 しかし、シンプルだからこそ「数直線を丁寧に使う」ことが正確さの鍵になります。

📐 連立不等式の解法手順

Step 1:それぞれの不等式を独立に解く

Step 2:各不等式の解を数直線上に図示する

Step 3:数直線上の共通部分を読み取る

※ 端点に等号が含まれるかどうか($\bullet$ か $\circ$ か)を正確に区別すること。

具体例で確認する

次の連立不等式を解いてみましょう。

$$\begin{cases} 3x + 1 > 2x - 1 \quad \cdots \text{①} \\ 5x - 3 \leq 2(x + 3) \quad \cdots \text{②} \end{cases}$$

Step 1:各不等式を独立に解きます。

① $3x + 1 > 2x - 1$ より $3x - 2x > -1 - 1$、すなわち $x > -2$

② $5x - 3 \leq 2x + 6$ より $5x - 2x \leq 6 + 3$、すなわち $3x \leq 9$、よって $x \leq 3$

Step 2:数直線上に図示します。 ① の解 $x > -2$ は $-2$ より右側($-2$ は含まない ── $\circ$)。 ② の解 $x \leq 3$ は $3$ より左側($3$ を含む ── $\bullet$)。

Step 3:共通部分を読み取ります。 結論:$-2 < x \leq 3$

💡 ここが本質:数直線は「思考の補助輪」ではなく「正確さの道具」

数直線を描くのは、計算に自信がないからではありません。 端点の等号の有無を視覚的に確認するための道具です。

$\circ$(含まない)と $\bullet$(含む)の区別を頭の中だけで処理すると、 特に3つ以上の不等式が絡む場合にミスが起きやすくなります。 数直線を描く習慣は、ミスを防ぐ最も確実な手段です。

共通範囲が存在しない場合

連立不等式には解が存在しない場合もあります。

$$\begin{cases} x > 3 \\ x < 1 \end{cases}$$

「$x > 3$ かつ $x < 1$」を同時に満たす実数は存在しません。 数直線上に図示すると、2つの範囲が重なる部分がないことが一目でわかります。 このとき、「解なし」あるいは「解は空集合」と答えます。

⚠️ 落とし穴:「解なし」を見落とす

✕ 誤:連立不等式を解いて「$x > 3$ かつ $x < 1$」を得たのに、「$1 < x < 3$」と書いてしまう。

○ 正:$x > 3$ と $x < 1$ には共通部分がないので解なし。 数直線上で2つの範囲が重なるかどうか、必ず図示して確認しましょう。

不等号の向きを混同すると、実際には解がない問題で答えを書いてしまうことがあります。 特に移項で符号を間違えた結果、矛盾する条件が出てきたときに気づけるかどうかが勝負です。

3不等式の整数解 ─ 離散的な解を求める

不等式の解は通常「連続的な範囲」として得られます。 たとえば $x > 2$ なら、$2.1$ も $2.5$ も $3$ も $100$ もすべて解です。 しかし、「解のうち整数だけを求めよ」と問われたら、話が変わります。

整数は離散的(とびとびの値)なので、まず不等式を解いて範囲を求め、 その範囲に含まれる整数を具体的に列挙する必要があります。

💡 ここが本質:整数解の問題は「範囲を求める → 整数を拾う」の2段階

整数解の問題は、以下の2段階で解きます。

第1段階:不等式(連立不等式)を解いて $x$ の範囲を求める。ここまでは普通の不等式と同じ。

第2段階:求めた範囲に含まれる整数を列挙する。 このとき、端点が含まれるかどうか($<$ と $\leq$ の違い)が答えを左右します。

整数解の問題で最も多いミスは、端点の等号の処理です。 「$x < 3$ を満たす最大の整数は $2$」、「$x \leq 3$ を満たす最大の整数は $3$」。 この違いを常に意識しましょう。

具体例:不等式を満たす整数の列挙

不等式 $3x < 5x - 2 \leq x + 12$ を満たす整数 $x$ をすべて求めてみましょう。

この不等式は $3x < 5x - 2$ と $5x - 2 \leq x + 12$ の連立不等式です。

左側:$3x < 5x - 2$ より $-2x < -2$、$x > 1$

右側:$5x - 2 \leq x + 12$ より $4x \leq 14$、$x \leq \dfrac{7}{2}$

共通範囲は $1 < x \leq \dfrac{7}{2}$、すなわち $1 < x \leq 3.5$ です。 この範囲に含まれる整数は $x = 2, 3$。 ($x = 1$ は $x > 1$ より含まない。$x = 4$ は $x \leq 3.5$ より含まない。)

結論:$x = 2, \, 3$

⚠️ 落とし穴:端点が整数のとき、等号の有無を見落とす

$1 < x \leq 4$ を満たす整数を求めるとき:

✕ 誤:$x = 1, 2, 3, 4$($x = 1$ を含めてしまう)

○ 正:$x = 2, 3, 4$($x > 1$ なので $x = 1$ は含まない。$x \leq 4$ なので $x = 4$ は含む)

端点がちょうど整数になるときこそ要注意です。$<$ と $\leq$ の1文字の違いで答えが変わります。

整数解の個数に条件がある問題

入試では「連立不等式を満たす整数がちょうど3個となるような定数 $a$ の範囲を求めよ」のように、 整数解の個数に条件が付く問題がよく出題されます。

このタイプの問題は、まず連立不等式を $a$ を含んだまま解きます。 すると解の範囲が $a$ の式で表されるので、 その範囲に整数がちょうど指定された個数だけ含まれるように $a$ の値を決めます。 ここでも数直線を使い、$a$ の値によって端点がどう動くかを考えるのがポイントです。

🔬 深掘り:離散数学と整数計画問題

「不等式の範囲から整数だけを拾う」という操作は、大学数学の整数計画問題(Integer Programming) の基礎です。通常の最適化問題(線形計画法)では連続的な変数を扱いますが、 製品の個数のように「小数では意味がない」変数を扱うときは整数計画問題になります。

整数計画問題は一般に連続の場合よりもはるかに難しく、計算機科学の重要な研究対象です。 高校で「整数解の個数」を考える練習は、離散最適化の第一歩といえます。

4文字係数の不等式 ─ 場合分けが必要な理由

$3x > 6$ を解くとき、両辺を $3$ で割って $x > 2$ と求めます。 これは $3 > 0$ だから不等号の向きが変わらない、という理由です。

では、$ax > 6$ を解くとき、両辺を $a$ で割れるでしょうか? $a$ の正負がわからないので、不等号の向きが変わるかどうか判断できません。 これが文字係数の不等式で場合分けが必要になる理由です。

💡 ここが本質:「正の数で割る」と「負の数で割る」で不等号の向きが変わる

不等式の両辺を $c$ で割るとき:

$c > 0$ のとき:不等号の向きはそのまま

$c < 0$ のとき:不等号の向きが逆転する

$c = 0$ のとき:そもそも $0$ で割れない

文字係数の不等式では、割る数(文字)の正負が不明なので、 「正のとき」「負のとき」「$0$ のとき」に分けて考えなければなりません。 これが「場合分け」の正体です。

具体例:$ax > 2a + 6$ の解法

$a$ を定数として、$x$ についての不等式 $ax > 2a + 6$ を解いてみましょう。

▷ 解法のステップ(3つの場合分け)

右辺を整理すると $ax > 2(a + 3)$。両辺を $a$ で割りたいが、$a$ の正負で場合分けが必要。

(i) $a > 0$ のとき

$a > 0$ で割っても不等号の向きはそのまま。$x > \dfrac{2(a+3)}{a} = 2 + \dfrac{6}{a}$

(ii) $a = 0$ のとき

元の不等式は $0 \cdot x > 6$、すなわち $0 > 6$。これは偽なので解なし

(iii) $a < 0$ のとき

$a < 0$ で割ると不等号の向きが逆転。$x < \dfrac{2(a+3)}{a} = 2 + \dfrac{6}{a}$

⚠️ 落とし穴:$a = 0$ の場合を忘れる

✕ 誤:$a > 0$ と $a < 0$ の2通りだけ場合分けする。

○ 正:$a > 0$、$a = 0$、$a < 0$ の3通りで場合分けする。 $a = 0$ のとき、$x$ の項が消えて不等式が定数だけの式になります。 その結果、「すべての実数が解」か「解なし」のどちらかになります。

$a = 0$ は「割り算ができない」特殊な場合であり、忘れやすいポイントです。 文字で割るときは必ず「$= 0$ の場合」を確認する習慣をつけましょう。

場合分けの結果をまとめる

文字係数の不等式では、場合分けの結果を整理して答えることが大切です。 上の例であれば:

  • $a > 0$ のとき:$x > 2 + \dfrac{6}{a}$
  • $a = 0$ のとき:解なし
  • $a < 0$ のとき:$x < 2 + \dfrac{6}{a}$

このように、パラメータ $a$ の値によって「解の形」そのものが変わるのが文字係数の不等式の特徴です。 2-2で学ぶ2次関数の場合分けとも通じる考え方であり、 「条件によって答えの構造が変わる問題」に対する場合分けは、数学全体を通じて重要なスキルです。

なお、場合分けの答案では「条件 → 結論」を対にして明記するのが鉄則です。 「(i) $a > 0$ のとき、解は $x > 2 + \frac{6}{a}$」のように、 条件と結論をセットで書きましょう。 計算過程だけを並べると、採点者がどの場合に対応するか読み取れず、減点の対象になります。

5この章を俯瞰する

「数と式」の章で学んだ不等式の内容を振り返り、全体像を整理しましょう。 1-4の1次不等式から始まって、この1-10で連立不等式と応用問題まで到達しました。

不等式パターン分類表

パターン問題の特徴解法のポイント
A:1次不等式$ax + b > 0$ の形移項して整理。負の数で割ると不等号が逆転
B:連立不等式複数の不等式を同時に満たす各不等式を独立に解き、数直線で共通範囲を求める
C:$a < f(x) < b$ 型挟み込み型の不等式連立不等式に分解して解く、または各辺に同じ操作
D:整数解整数だけを答える範囲を求めてから整数を列挙。端点の等号に注意
E:文字係数係数に文字(パラメータ)を含む文字の正負で場合分け。$= 0$ の場合を忘れない

つながりマップ

  • ← 1-4 1次不等式:1次不等式の解法が、連立不等式の各パーツを解く基礎。不等号の向きの扱い(負の数で割ると逆転)がすべての出発点。
  • ← 1-3 実数と平方根:不等式の端点に無理数が現れることがある。$x < \sqrt{3}$ を満たす整数の判定には、平方根の大きさの見積もりが必要。
  • → 2-4 2次不等式:2次不等式の解を数直線上に表す考え方は、連立不等式と同じ。2次不等式を連立で組み合わせる問題も頻出。
  • → 3-1 集合:連立不等式の「共通範囲」は集合の「積集合」に対応。集合の言葉で不等式の解を表現する問題は入試の定番。
  • → 第2章 場合分けの考え方:文字係数の不等式で学んだ場合分けは、2次関数の最大・最小(軸が動く問題)でも同じ発想で使われる。

📋まとめ

  • 連立不等式の解は、それぞれの不等式の解の共通部分(積集合)である
  • 連立不等式は各不等式を独立に解いてから数直線で共通範囲を求める。加減法は使わない
  • $a < f(x) < b$ 型は、$f(x) > a$ と $f(x) < b$ の連立不等式に分解して解く
  • 整数解の問題は「範囲を求める → 整数を列挙する」の2段階。端点の等号の有無が答えを左右する
  • 文字係数の不等式では、文字の正負(正・$0$・負)で場合分けする。$= 0$ の場合を忘れない
  • 場合分けの答案は「条件 → 結論」を対にして明記する

確認テスト

Q1. 連立不等式の解は、各不等式の解のどのような関係で求められますか?

▶ クリックして解答を表示各不等式の解の共通部分(すべての解が重なる範囲)。集合の言葉では「積集合」に対応する。

Q2. 連立不等式 $\begin{cases} x + 3 > 1 \\ 2x - 1 \leq 5 \end{cases}$ を解いてください。

▶ クリックして解答を表示① $x > -2$、② $x \leq 3$。共通範囲は $-2 < x \leq 3$。

Q3. 不等式 $-1 < 2x + 3 \leq 9$ を満たす整数 $x$ をすべて答えてください。

▶ クリックして解答を表示各辺から $3$ を引くと $-4 < 2x \leq 6$。各辺を $2$ で割ると $-2 < x \leq 3$。整数は $x = -1, 0, 1, 2, 3$。

Q4. 不等式 $ax > 4$ を解くとき、なぜ場合分けが必要ですか?

▶ クリックして解答を表示両辺を $a$ で割るとき、$a$ の符号によって不等号の向きが変わるかどうかが決まるから。$a > 0$ なら $x > \frac{4}{a}$、$a = 0$ なら解なし、$a < 0$ なら $x < \frac{4}{a}$。

Q5. 連立不等式 $\begin{cases} x > 5 \\ x < 2 \end{cases}$ の解を答えてください。

▶ クリックして解答を表示$x > 5$ と $x < 2$ を同時に満たす実数は存在しない。解なし(空集合)。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

1-10-1 A 基礎 連立不等式 共通範囲

次の連立不等式を解け。

$$\begin{cases} 5x - 3 > 3x + 1 \\ 3(x - 2) \leq 2x + 1 \end{cases}$$

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解答

$2 < x \leq 7$

解説

方針:各不等式を独立に解き、数直線で共通範囲を求める。

① $5x - 3 > 3x + 1$ より $2x > 4$、$x > 2$

② $3(x - 2) \leq 2x + 1$ より $3x - 6 \leq 2x + 1$、$x \leq 7$

数直線上で共通範囲を求めると $2 < x \leq 7$。

※ $x = 2$ は含まない($>$)、$x = 7$ は含む($\leq$)ことに注意。

1-10-2 A 基礎 整数解 端点処理

不等式 $2x - 1 < 5x + 2 \leq 3x + 10$ を満たす整数 $x$ をすべて求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$x = 0, 1, 2, 3, 4$

解説

方針:$a < f(x) \leq b$ 型を連立不等式に分解し、共通範囲内の整数を列挙する。

左側:$2x - 1 < 5x + 2$ より $-3x < 3$、$x > -1$

右側:$5x + 2 \leq 3x + 10$ より $2x \leq 8$、$x \leq 4$

共通範囲は $-1 < x \leq 4$。

$x = -1$ は $x > -1$ より含まない。$x = 4$ は $x \leq 4$ より含む。

この範囲の整数は $x = 0, 1, 2, 3, 4$。

B 発展レベル

1-10-3 B 発展 整数解の個数 パラメータ

連立不等式 $\begin{cases} 5x - 2 > 3x \quad \cdots \text{①} \\ x - a < 0 \quad \cdots \text{②} \end{cases}$ を満たす整数 $x$ がちょうど3個であるような定数 $a$ の値の範囲を求めよ。

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解答

$4 \leq a < 5$

解説

方針:連立不等式を $a$ を含んだまま解き、整数解が3個となる条件を数直線で考える。

① $5x - 2 > 3x$ より $2x > 2$、$x > 1$

② $x - a < 0$ より $x < a$

連立不等式の解は $1 < x < a$(ただし $a > 1$ のとき)。

$x > 1$ なので $x = 1$ は含まない。この範囲に含まれる整数は $x = 2, 3, \ldots$ のうち $x < a$ を満たすもの。

ちょうど3個の整数($x = 2, 3, 4$)が含まれる条件は:

$x = 4$ が含まれる → $4 < a$、すなわち $a > 4$ ……ではなく、$4 < a$ つまり $a > 4$。

ただし待ってください。$x < a$ なので $x = 4$ が含まれる条件は $4 < a$。 一方、$x = 5$ が含まれない条件は $5 \geq a$、すなわち $a \leq 5$。

もう少し丁寧に。$1 < x < a$ に含まれる整数が $2, 3, 4$ の3個であるためには:

・$4 < a$($x = 4$ が含まれる)かつ $a \leq 5$($x = 5$ が含まれない)

$x < a$ で $x = 5$ が含まれない条件は $a \leq 5$。

よって $4 < a \leq 5$。

しかし $a = 5$ のとき $1 < x < 5$ なので $x = 2, 3, 4$ の3個。$x = 5$ は $x < 5$ より含まれない。よって $a = 5$ も条件を満たす。

$a = 4$ のとき $1 < x < 4$ なので $x = 2, 3$ の2個。不適。

したがって $4 < a \leq 5$。

※ 訂正:もう一度整理します。$1 < x < a$ に整数 $x = 2, 3, 4$ がちょうど含まれる条件は、 $4 < a \leq 5$ です。$a = 4$ なら $x = 4$ は含まれず2個、$a = 5$ なら $x = 5$ は含まれず3個で適、 $a > 5$ なら $x = 5$ も含まれ4個以上で不適。

採点ポイント
  • 各不等式を正しく解く(2点)
  • $a > 1$ の条件に気づく(1点)
  • 整数解を正しく列挙する(3点)
  • $a$ の範囲の端点処理が正確(4点)
1-10-4 B 発展 文字係数 場合分け 論述

$a$ を定数とする。$x$ についての不等式 $(a - 1)x > 2a + 4$ を解け。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(i) $a > 1$ のとき:$x > \dfrac{2(a + 2)}{a - 1}$

(ii) $a = 1$ のとき:解なし

(iii) $a < 1$ のとき:$x < \dfrac{2(a + 2)}{a - 1}$

解説

方針:$x$ の係数 $a - 1$ の正負で場合分けする。右辺を $2(a + 2)$ と整理しておくとよい。

$(a - 1)x > 2(a + 2)$

(i) $a - 1 > 0$、すなわち $a > 1$ のとき:

正の数 $a - 1$ で割っても不等号の向きは変わらない。

$$x > \frac{2(a + 2)}{a - 1}$$

(ii) $a - 1 = 0$、すなわち $a = 1$ のとき:

$0 \cdot x > 2(1 + 2) = 6$、すなわち $0 > 6$。これは偽なので解なし

(iii) $a - 1 < 0$、すなわち $a < 1$ のとき:

負の数 $a - 1$ で割ると不等号の向きが逆転する。

$$x < \frac{2(a + 2)}{a - 1}$$

※ $a = -2$ のとき、$\frac{2(a+2)}{a-1} = \frac{0}{-3} = 0$ となり、$x < 0$ が解。 特別な値でも破綻しないことを確認するとよい。

採点ポイント
  • $a - 1$ の正負で場合分けすることを明記(3点)
  • $a = 1$($a - 1 = 0$)の場合を正しく処理(2点)
  • $a > 1$ のときの解を正しく求める(2点)
  • $a < 1$ のときの不等号の逆転を正しく処理(3点)